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VOICES


BLUES'Nと私

by Takumi Kuramae

ひょっこり入ってしまったお客が、なんのプレッシャーもなく、その場にいれて、音楽を聴けて、ちょっと興味がふくれれば、気軽に声をかけられるマスターがいる。
そんな言葉が「ブルーズン」に集まれば、ごっつ、嬉しいですねえ。まあ、常連というかなあ、好きで長く通ってます、みたいな人は、放っておいても(良くはありませんが)多少、ゴメンナチャイの心があれば「ふむふむ」と許されそうなもの。それに、新しい人間の出現に、仲間になるかも知れぬ?!オモロイやつかも知れぬ?!なんて風に、心のうちじゃあ、思ってたりするし。あっ、ワタシの場合はね。「おいらのコトは気にとめちゃならんぜ。ぜひ、そちらの方の世話に気を注がれえい」なんて風に。
ブルースってのに興味があるんだけど、仲間はいないし、レコードありません。楽器もなけりゃあ、おいらはいったい・・・そんな不安、悩み、全て解消致しますみたいなところになれる気がするし。弘前周辺のブルース仲間は集まるし、音は聴きホーダイ。楽器屋のにいさん達にも通じ、もちろん、オレカンのライヴ情報だって手に入るし。あとは、まわりのいかがわしい?!、頼もしいおっさんや、にいちゃん達も一緒になって、面倒をみてくれるというし。奥ぶかいブルーズンの世界!

そうだなあ、ワタシにとってブルーズンは、馴染みの仲間に会わせてくれるし、ブルースを聴かせてくれる、もちろん、そういうたのしみもあるんだけど、新しい仲間に会えそうな、そんな雰囲気を感じさせてくれるのが良くって、通ってしまう店みたい。
 
 そのブルーズン。わりに、人の賑わう通りにあるし、イトーヨーカ堂、紀伊国屋書店も近く、別用で近くに出没することもしばしば。
そんなとき、「正井のおっさん、元気かなあ」「のどが乾いたなあ」「撮影も一時、キューケイ」なんていう、フツーの理由で、ブルーズンに立ち寄ることだって、しょっちゅうあるわけ。ギターをかついで行くより、カメラを手にしてったコトの方が多いかも。
また、店で遊んでりゃあ、坊主頭のシルエットが、窓越しにカンタンに視認できちゃうようで、「おまえ、昼、ブルーズンだな」と、ドキッとする場面も。わりいコトはしてないけどね。そういやあ、なんでだったかなあ?宮川さんと牛丼を喰ったときもあったっけ。

 さて、そのブルーズンのマスター、正井さんと会ったトキのコトをチラッと書いて終わりにしよっ。
私とブルーズンとのかかわりが、そのまんま、ワタシと正井さんとのかかわりと考えちゃえば、ちょっとは、オモシロかった、イケてた正井さんのハナシもいいかな、なんて。
 8年前。ブルース聴きたての頃。ブルースのライヴを体験したのは、そのときがはじめてで、それが、正井さんと宮川さんの二人の演奏だったんですよ。そこにあった素性の知れないギターをとって、チューニングという、確かに、このあと何かをするという意思を秘めた作業をすすめ、それが終わるや、わかる人にしかわからない呪文か暗号のような、一言二言の言葉を交わし(曲名かキーだったんでしょう)、まさに食い入るように、ワタシが二人を凝視していれば、ワタシの耳は、曲の始まりをつかまえ損ねて、いつのまにやら、聴き覚えのある曲のサイチュ−。
ビビったね、あれには。
この人たちは、曲を構成している音と、そうではない音の間を、自在に往来していると。なんて言葉がよぎったワケではありませんが、曲と曲でないところの区切りが見えないあたりが、じつに良かったんですよ。
「絶対、このおっさんら、遊んでる!」そう思いましたね。
他にだって、肉体的なコトで申し訳ないのですが、指が弦を押さえるなどという言葉がどうしても落ち着かない。
どこをどう押さえているのか教えてと、弦の上に静止した指を見ても、これがどうにもこうにもわかりません。ましてや、その指が動き出せば、もうお手上げ。何がどうして、笑い出したと思えば、手はギターからはなれ、あっち行ってしまうし。
弦の上に指があれば、まだ、なんとかなるものも、ギターを放っぽり投げ出されちゃあ、運指もクソもありません。それでも、鳴らす音には、ブルースの匂いがするじゃない。人間ワザじゃあ、なかったね。神業というんですか、ああいうのは。

まだまだあるよ。進行する曲のなかで、なんかの合図があるんでしょうねえ、(今じゃ、何を合図にして、たがいの役割を交換したり、音の要、不要みたいのをカクニンし合うのか、少しはわかるようになったけれど)見事に、統率のとれたデゥオでしたよ。
ソロ、歌、リズム、ブレーク、エンディング、なんていう節目、節目が決まるのね。
かっこよかったんだわ、すっごい。
やってる二人のあいだには、「おいおい、お前、しっかりやれよ、よれてるぞ、いまの」なんて思いがあったのかもしれないけれど。

でも、そういうのも含めて、良かったんでしょう。
単なるブルースの実演というのではなく、人の思いってのが、音に現れることを、実感していたワケですから。
ところが、その思いってのも、いろいろあるみたいだから、容易じゃあない。
おっと、これから先へ進めば、タイトルから、すこたま離れていきそう。
ここらで、おしまいにしよっ。

 このときが、正井さんとの出会いであり、ブルースとの出会いであったと今も、思っているんですね。
今でも、あの指は、あのプレーは、健在なのかなあ。
弘前のエディ テイラ−とうたわれていたあのリズムは。
「I'm just a bad boy〜」いつも歌ってのは、宮川さんだったなあ、そういえば。


─BLUES'NのHP再開、と聞いて、現在、大曲市におられる倉前クンから一文が寄せられました。タイトルは「BLUES'Nと私」。
そこで VOICESというコーナーを作り、こちらに寄稿していただいたものを掲載いたします。同様な投稿をお待ちしておりますので、メールでお寄せください。
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by big-town | 2004-04-14 22:47 | VOICES